Fostex FE163En-S 限定16cmフルレンジユニットの発売について  その6 点音源バックロードホーン「ヒクイドリ」について


 限定ユニット「FOSTEX:FE163En−S」[16cm
バックロードホーン(以下、BH)専用フルレンジ]の限定品販売に
より、

雑誌でそのためのスピーカー(以下SP)・エンクロージャー(以下、
箱)が公開されてます。

「FE103En−S」,「FE203En−S」の時と同様に
妄想検討したいと思います。

全ての雑誌に目を通していませんが、2モデル掲載されています。
1モデルは次号に続く2回連載?になっていましたので、残りの1
つを紹介します。

1.「Audio Basic vol.61 Let's Enjoy Speaker Craft」
   P263−P267「ヒクイドリの製作」 文・製作 炭山アキラ氏

 (1)概要
   「オシドリ:FE103En-S」,「シギダチョウ:FE203En-S」に
   続く、長岡鉄男氏発案のスワン系BHの16センチバージョン
   の改良型、点音源型BH。

   本体は炭山アキラ氏設計の「オシドリ」形状で、頭が大きく
   首になる部分がやや短い前面開口ホーン。長岡鉄男氏自作
   SPで最後の

   機器テスト用SP「D−168:スーパーレア」の省スペース
   小型化を目指したBH(以下「スーパー」を「S」と略す)

   ・「ヒクイドリ」の主な設計値
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  フルレンジユニット:FOSTEX FE163En−S
  トゥイーター   :FOSTEX T96A−EX2
  ハイパスフィルター:コンデンサー(6dB/oct) FOSTEX CS0.33
  箱の材料・・・・・:15[mm]厚シナ合板(表シナ内部ラワン?)
  材料の量・・・・・:サブロク材3.25枚(2台)、
           :1辺15[mm]直角二等辺三角形横木2[m]2本

  スロート絞り率・・:約0.86(実寸値より予想)
  ホーン長・・・・・:2[m]少し(掲載値)
  開口面積・・・・・:約1150[cm^2]
  スロート面積・・・:120[cm^2](実寸値)
  開口/スロート面積:約9.58倍
  空気室容積・・・・:約7.8[L](ユニット等の減少分含む)
  実行空気室容積・・:約7.2[L](実寸値より推測)
  寸法 (W×H×D)・・:420×1040×440 [mm]
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   ・「D−168:Sレア」の主な設計値(参考) 
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  フルレンジユニット:FOSTEX 6N−FE168SS
  箱の材料・・・・・:15[mm]厚シナ合板(表シナ内部ラワン?)
  材料の量・・・・・:サブロク材4枚(2台)

  スロート絞り率・・:約0.87(掲載値より計算)
  ホーン長・・・・・:不明(未測定)
  開口面積・・・・・:729[cm^2]
  スロート面積・・・:121[cm^2](掲載値)
  開口/スロート面積:約6.02倍
  空気室容積・・・・:約8.0[L](ユニット等の減少分含む)
  実行空気室容積・・:約6.6[L](掲載値)
  寸法 (W×H×D)・・:450×1020×450 [mm]
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 (2)感想

    今回の「ヒクイドリ」は、「D−168:Sレア」に炭山氏
   の発案改良がどれだけ設計に盛り込められるかがポイントに
   なると思います。

   実は「Sレア」は、「Sスワン」・「モア」とは違い、長岡氏
   が一般的室内で使用できるように、最初からホーンを意識し
   て小型化した、別思想を盛り込んだ設計になっていました。
   (ホーン折り返しが1回少ない)

   よって、炭山氏は、予想外に苦戦して設計が思惑通り行かな
   かったことが書かれています。そのため、ホーン開口面積が
   大きくなっているのが「Sレア」との違いになっています。

   小型化はあまり出来ていませんが、短期間で何とかまとめ上
   げたことは称賛に値します。

   それでも、ホーン開口を前面に持ってきているので、最小6
   畳位の部屋から十分使えそうなサイズになっています。

   音の結果は箱の作成が締め切りギリギリだったようで、箱の
   エージング(出来れば最低数日)、吸音材の調整が済んでいな
   いので、大雑把な感想しか書かれていません。

   残念ながら設計上無理が生じているようで低音の伸びに影響
   があり、60[Hz]までしか伸びていないBHとなっています。

   しかし、音場感で影響の少ないサブウーファー(以下SW)を
   接続する場合は、困難さが減り、少しは楽に接続できる可能
   性が出てきました。
   
   見た目は、「シギダチョウ」のように極端に首が短くなく、
   ヘッド(頭)も見た目を意識して、バッフルを最小限にしてい
   ますのでスワン系の形を保っています。

    今回も結果測定は、FOSTEX社での業務用の本格派による測定
   で、周波数の幅が細かく非常に山谷の振幅が激しい「ギザギザ」
   なグラフ(特性)になっています。

   「ヒクイドリ」は、FOSTEXさんの「カットサービス」を
   検討されてもよいモデルだと私は思いますが、どうなるのでし
   ょうか?

   設計に無理があり、板材で中途半端な幅木があります。また、
   ホームセンターに依頼し難い板取りなので、出来れば作成した
   い人のために実現してほしいと思います。


2.その他

 記事の冒頭で、スーパートゥイーター(以下STW)「FT96H」
を異常に褒めていて、

同時に発売される「T96A−EX2」と「ヒクイドリ」と組み合
わせた場合の音を異常な表現で同様に褒めています。

ハイパス(高音域だけを通すパッシブネットワーク)フィルターの値
を見ますと、可聴帯域でSTWの音がほとんど聴こえない値です。

長岡氏の「Sレア」の記事でSTWについては追加が困難なので、
積極的に勧めていません。
(「FE163En-S」の高音域の伸びは「6N-FE168SS」とほぼ同等)

その当時は同時に「T96A−EX」に相当する限定STWも発売
されませんでした。

明らかに記事で「T96A−EX2」を宣伝するように炭山氏に
"圧力"が掛かっていると想像します。炭山氏も生活が掛かっている
ので、その圧力に従わざるを得ないと思います。

フォステクスさんも限定商品を売り切らないと困るのも明らかです。
そして、単体で見れば非常に魅力のあるSTWであることは間違い
ありません。

しかし、「FE163En-S」と「T96A-EX2」をペアで売るにはお互いの
良さがメリットになり難いコストばかり掛かる組合せですので、
無理にペアで売る営業方針はいかがなものかと思います。

このような、事象を経済学では、
「合成の誤謬(ごうせいのごびゅう、fallacy of composition)」
と呼ぶのだそうです。